はじめに
「Claude Codeを導入したいが、顧客の機密資料を扱う以上、セキュリティが不安で踏み切れない」
士業事務所からよく伺う声です。この不安は正しい感覚です。ただし答えは「使わない」ではなく、導入日に安全設定を済ませてから使い始めることです。設定は難しくありません。難しいのは「後でやろう」と先送りにしないことだけです。
当社は不動産鑑定業の実務で Claude Code(クロードコード:生成AIが自分のパソコンのフォルダを読み書きして作業する「エージェント型」のツール)を日常運用しています。本記事では、機密を扱う士業事務所として当社が実践している初期設定の型を、導入日のチェックリストとしてお伝えします。
第1章: 導入日にやるべき設定 — 学習オフの確認と記録
入力データを学習に使わせない設定
最優先はこれです。Claudeの有料プランでは、入力データをAIの学習に使わせない設定が可能です。導入日にまずこの設定状況を確認してください。この確認を済ませていない状態で顧客資料を入力することは、当社では一切禁止しています。
なお、料金は2026年8月時点でProが月20ドル、Max 5xが100ドル、Max 20xが200ドルです(変動の可能性があります)。プラン選びの詳細は 料金ガイド をご覧ください。重要なのは、業務利用では学習させない設定が可能な有料プランを前提にすることです。
設定画面を関係者で一緒に確認し、記録に残す
当社がお勧めしているのは、設定画面を代表者とスタッフが一緒に見て確認し、確認した日付・画面・確認者を記録に残すことです。理由は2つあります。
- 顧客や取引先から「AIに入れて大丈夫なのか」と問われたとき、「設定を確認済みです」と記録付きで答えられる
- 「誰かがやってくれているはず」という思い込みを防げる
セキュリティは設定そのものと同じくらい、「確認した事実を説明できること」が価値を持ちます。
第2章: アカウント管理とフォルダ運用
アカウントは事務所メールで作り、支払いを一元管理する
個人の私用メールでアカウントを作ると、退職時の引き継ぎ、支払いの経費処理、アクセス管理のすべてが不透明になります。事務所ドメインのメールアドレスで作成し、支払い方法も事務所で管理してください。誰がどのアカウントを使っているかを一覧にしておくと、後の棚卸しが楽になります。
案件フォルダ内で完結させる
Claude Codeはフォルダを読み書きするツールなので、どのフォルダで作業させるかがそのまま安全設計になります。当社の運用は単純です。
- 案件ごとに作業フォルダを作り、Claude Codeはそのフォルダの中だけで作業させる
- その案件に関係のない資料(他の顧客の資料、人事情報など)を作業フォルダに置かない
- 成果物も同じフォルダ内に出力させ、散らばらせない
「AIに見せてよい範囲」をフォルダの区切りで物理的に表現するわけです。ルールとして「機密に注意」と唱えるより、構造で守る方が確実です。
第3章: 設定は規程とセットで初めて機能する
設定だけでは守れないもの
学習オフの設定は「事業者側にデータを学習させない」ための措置ですが、事務所の中の運用——誰が・どの案件で・何を入力してよいか——までは制御してくれません。たとえば新人スタッフが判断に迷ったとき、頼れるのは設定ではなく所内ルールです。
最低限決めておくべきこと
- 入力してよい情報・いけない情報の区分(顧客名の扱い、個人情報の扱い)
- AI出力の検証を誰がどの工程で行うか
- 新しいAIツールを使い始めるときの承認手順
当社ではこうしたルールを利用規程として文書化し、初期設定とセットで運用しています。設定が「技術の鍵」なら、規程は「運用の鍵」です。両方そろって初めて、顧客に説明できる体制になります。
まとめ
- 導入日に、入力データを学習に使わせない設定を確認し、関係者で一緒に見て記録に残す
- アカウントは事務所メールで作成して支払いを一元管理し、作業は案件フォルダ内で完結させる
- 設定は利用規程とセットで初めて機能する。「何を入力してよいか」の所内ルールを文書化する
初期設定から利用規程の整備、スタッフ研修までを一気通貫で整えたい事務所には、当社のAI導入スタートパック(25万円・税別・3ヶ月、研修60分×2部を含む)をご用意しています。まずは 無料相談 で現状の設定をご相談ください。セキュリティの考え方を含む無料資料「鑑定士のためのAI活用入門」は こちらからダウンロード いただけます。
