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Blog / 自動化

役所調査・資料整理はAIでどこまで楽になるか?鑑定・士業実務での活用法

はじめに

「役所を回って資料は集めたが、整理が追いつかない」「案件のたびに、どのファイルがどの資料か探し回っている」

不動産鑑定や士業の実務では、調査そのものと同じくらい、収集した資料の整理に時間が取られます。現地と役所を一日かけて回った後、夕方から資料の仕分けとファイル名の付け直しに追われる。多くの事務所で見られる光景ではないでしょうか。

当社は不動産鑑定事務所として、この資料整理の工程に生成AIを組み込んで運用しています。本記事では、役所調査・収集資料の整理におけるAIの使いどころと、守るべき原則、そしてAIが働きやすい案件フォルダの設計をご紹介します。

第1章: 調査資料の整理はなぜ負担なのか

種類が多く、形式がばらばら

役所調査で集まる資料は、都市計画・道路・上下水道・建築規制などの関係資料に加え、登記関係の資料、現地写真、聴取メモと多岐にわたります。紙のコピー、窓口でもらうPDF、自分で撮った写真、手書きメモと形式もばらばらで、そのままでは「どの案件の、何の資料か」すら一目で分かりません。

整理しないと後工程が全部遅れる

資料整理は評価や書類作成の前提工程です。ここが乱れていると、書面を書く段階で「あの規制の根拠資料はどこだったか」と探し直すことになり、後工程すべてが遅れます。逆に言えば、整理を高速化すると案件全体が速くなります。当社が直近の裁判案件で受任から18日で鑑定評価書を納品できた背景にも、この工程の効率化があります。

第2章: AIの使いどころは4つ

資料の要約と一覧化

スキャンした資料をAIに読ませ、「資料名・発行元・日付・要点」の一覧表を作らせます。案件フォルダに資料台帳が自動でできるイメージです。当社では取引事例の整理・一覧化が180分から30分になりました。具体的な進め方はClaude Codeの実務活用事例で紹介しています。

論点の抽出

集めた資料を横断して「この案件で注意すべき規制・権利関係の論点を挙げて」と頼むと、見落とし防止の観点リストが得られます。AIの指摘を鵜呑みにするのではなく、「人間が見落としていないかの網」として使うのがコツです。

チェックリスト照合

事務所の調査チェックリストと収集済み資料を突き合わせ、「未収集の資料」「日付が古く取り直しが必要な資料」を挙げさせます。追完のための役所再訪を減らせる、地味に効く使い方です。

ファイル名の整理

「フォルダ内のPDFを開いて内容を確認し、日付_資料種別_発行元の形式でファイル名を付け直して」という作業も任せられます。人間がやると退屈で後回しになりがちな作業ほど、AI向きです。

第3章: 守るべき原則とフォルダ設計

原本確認は人間、重要事項は元資料と突合

AIは資料の読み取りを誤ることがあります。したがって原則は明確です。

  • 評価や判断の根拠となる重要事項は、必ず人間が元資料と突合する
  • AIが作った一覧や要約は「下書き」であり、確定情報として扱わない
  • 判断そのものはAIに委ねない。鑑定評価は不動産鑑定士の独占業務(不動産の鑑定評価に関する法律)であり、AIの役割は周辺作業の効率化に限られます

当社では評価書の納品前チェックも、目視1〜2時間の作業が「AIの指摘の採否を判断する15分程度」に変わりましたが、採否の判断は必ず鑑定士が行っています。

AIが働きやすい案件フォルダの設計

AIに整理を任せる前提では、フォルダ構成自体を整えておくと精度が上がります。ポイントは3つです。

  • 案件ごとに1フォルダとし、その下を「01_受託資料」「02_役所調査」「03_現地写真」のように番号付きで統一する
  • 全案件で同じ構成を使い回す。構成が統一されていれば、AIへの指示も定型化できます
  • フォルダ直下に案件の基本情報メモ(所在・類型・依頼目的など)を置く。AIが文脈を理解した状態で作業できます

なお、機密性の高い資料を扱う以上、入力データを学習に使わせない設定ができるサービスを選ぶことが前提です。たとえばClaudeの有料プランではその設定が可能です。

まとめ

  • AIの使いどころは、資料の要約・一覧化、論点抽出、チェックリスト照合、ファイル名整理の4つです
  • 原本確認と重要事項の突合は必ず人間が行い、AIの成果物は下書きとして扱います
  • 全案件で統一した番号付きフォルダ構成にすると、AIへの指示が定型化でき精度も上がります

役所調査後の資料整理を効率化したい鑑定士・士業の先生は、ぜひ一度無料相談でご相談ください。実務での使い方をまとめた無料資料「鑑定士のためのAI活用入門」もこちらからダウンロードいただけます。

吉田 健人

代表取締役社長・不動産鑑定士

吉田 健人

外資IT企業でデータ分析・クラウドサービスの営業に従事した後、不動産鑑定士として独立。鑑定実務とITの両面の経験を活かし、同業の鑑定士事務所のIT化を支援している。

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