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WordPressと静的サイト、士業のホームページはどちらを選ぶべきか?更新・セキュリティ・費用で比較

WordPressと静的サイト、士業のホームページはどちらを選ぶべきか?更新・セキュリティ・費用で比較

「ホームページを作り直したいが、制作会社からWordPressを勧められた。それでいいのか判断できない」。士業事務所の代表の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。

技術の選定は、デザインや料金と違って比べる物差しが見えにくく、提案されたほうを受け入れるしかない、と感じる方が多いのももっともです。ただ、この選択は公開後の5年間の手間と費用をほぼ決めてしまいます。あとから乗り換えるには、原稿を移し替え、URLを設計し直し、検索順位が落ちるリスクを負うことになります。

本記事では、WordPressと静的サイトという2つの土台を、更新頻度・セキュリティ・月額コスト・拡張性の4つの軸で比較します。私たち鑑定士は、本体サイトをWordPressで、特化サイト8つを静的サイトで運用しています。どちらが優れているかではなく、どちらがどの事務所に向くかという話として、実際に両方を回している立場からご説明します。

そもそも「静的サイト」とは何を指すのか

比較の前に、用語を揃えておきます。ここが曖昧なまま議論すると、話がかみ合いません。

WordPressは「表示のたびに組み立てる」仕組み

WordPress(ワードプレス:世界で最も使われているコンテンツ管理システム)は、記事や設定をデータベースに保存しておき、閲覧者がページを開くたびにサーバー上でHTMLを組み立てて返します。管理画面から誰でも記事を書けるのはこの仕組みのおかげです。W3Techsの調査(2026年9月13日時点)では、WordPressは全ウェブサイトの40.3%、CMS(コンテンツ管理システム)を使うサイトに限れば58.8%で使われています。士業サイトで提案されることが多いのは、この普及度の裏返しです。

静的サイトは「あらかじめ組み立てておく」仕組み

静的サイト(Static Site)は、公開前にすべてのページのHTMLを作り終えておき、閲覧者にはできあがったファイルをそのまま配信します。更新のたびに全ページを作り直して置き換える、という運用です。

「静的」という言葉から、更新できない古い形式のサイトを想像される方がいますが、それは誤解です。現在の静的サイトは、原稿ファイルを書き換えると自動で全ページが再生成され、数分で本番に反映されます。当事務所の特化サイトは、記事を1本追加すると平均2分ほどで公開状態になります。

見た目とスマホ対応では差がつかない

念のため申し添えると、デザインの自由度、スマートフォン対応、表示速度、検索エンジンへの掲載のしやすさで、両者に本質的な差はありません。差が出るのは、この後に見る運用の部分です。

判断軸1: 更新頻度と、実際に更新する人

最初に考えるべきは「誰が、どれくらいの頻度で、何を触るか」です。技術ではなく体制の話です。

複数人が日常的に触るならWordPress

所内の複数名がそれぞれ記事やお知らせを投稿する、事務職員が営業時間の変更を直す、といった運用ならWordPressが向きます。管理画面にログインして文章を書き、公開ボタンを押せば終わりです。この手軽さは、他のどの方式でも完全には再現できません。

代表1人が月数回書く程度ならどちらでもよい

一方、更新するのが代表1人だけで頻度も月数回という事務所では、管理画面があることの価値は思ったほど大きくなりません。むしろ現場では「ログインの手順とパスワードを思い出すのが面倒で更新が止まる」という形で、管理画面が更新のハードルになっていることさえあります。

静的サイトの更新は「原稿ファイルを書き換える」形になる

静的サイトの更新は、テキストファイルに原稿を書いて保存する操作になります。管理画面は無く、書式は見出しや箇条書きを記号で表す簡易記法を使います。慣れれば管理画面より速いのですが、最初の数回は制作側の補助が要ります。なお、生成AIに下書きを作らせている事務所なら、AIの出力はもともとこの記法ですので、コピーして保存するだけで済みます。

判断軸2: セキュリティ管理にかけられる手間

ここが両者で最も差がつく部分です。そして、士業にとって最も軽視できない部分でもあります。

2025年のWordPress関連の脆弱性は11,334件、その91%がプラグイン

Patchstack「State of WordPress Security in 2026」によれば、2025年に新たに報告されたWordPress関連の脆弱性は11,334件で、過去最多でした。内訳はプラグインが91%、テーマが9%で、WordPress本体に起因するものは6件にとどまります。

つまり、問題はWordPressそのものではなく、機能を足すために入れるプラグインに集中しています。同レポートでは、このうち深刻なものが4,124件(36%)とされています。

静的サイトには「本番に壊すものが無い」

静的サイトが構造的に有利なのは、公開されているのがHTMLファイルだけで、本番環境にデータベースも管理画面もログイン機能も存在しない点です。乗っ取られるログイン画面が無く、更新を怠って古くなるプラグインもありません。守るべき面積がそもそも小さいという言い方ができます。依頼者の氏名や物件所在地といった情報を扱う士業にとって、この差は無視できません(事務所全体の守りは生成AIに機密情報を入れて大丈夫かで扱っています)。

保守を外注するなら差は縮まる

ただし、WordPressでも保守契約を結び、更新作業と監視を専門業者に任せていれば、実務上のリスクは相当下がります。断言します。危ないのはWordPressそのものではなく、「入れっぱなしで誰も見ていないWordPress」です。作ったきり2年間ログインしていないなら、方式を議論する以前の問題です。

判断軸3: 月額コストと5年間の総額

制作費は見積書に出てきますが、運用費は見落とされがちです。5年で見ると、ここが逆転することがあります。

月々かかるものを並べて比べる

項目WordPress静的サイト
サーバー・配信レンタルサーバー 月額1,000円前後(法人向けは5,000円超も)小規模サイトは無料枠で収まることが多い
保守・更新作業最低限の保守で月額1万円前後、手厚いもので3〜5万円本体の更新作業が不要
ドメイン年額1,000〜数千円同じ
有料プラグイン・テーマ年額で数千〜数万円かかる場合あり該当なし

サーバー費と保守費の水準は各社の公表料金や制作会社の一般的な提示によるもので、サイトの規模や要件で上下します。会員機能やネットショップを持つサイトでは、いずれの方式でも費用は上がります。

5年間の総額で見ると差が出る

仮に、制作費が同額の2つの提案があったとします。WordPress側が保守込みで月1万円、静的サイト側が配信無料・ドメインのみで年3,000円だとすると、5年間の運用費は60万円対1.5万円です。制作費の多少の差であれば、5年で吸収してしまう規模の違いになります。

もっとも、静的サイトは記事を自分で入れる前提だからこの金額になる、という点は正直に申し上げておきます。原稿作成まで外注するなら、方式にかかわらず同じだけの費用がかかります。費用構造の全体像は士業のホームページ費用相場で扱っています。

記事が増えたときの挙動も見ておく

記事が100本、200本と増えたとき、WordPressは表示が重くなりやすく、キャッシュ(表示結果の一時保存)の設定や上位プランへの移行が要ることがあります。静的サイトは配信ファイルが増えるだけなので、閲覧者の体感はほとんど変わりません。記事を積み上げて検索から集客する方針なら、この差は効いてきます。

当事務所の使い分けと、事務所タイプ別の判断

最後に、私たちが実際にどう分けているかと、そこから導ける判断基準をお示しします。

本体サイトはWordPress、特化サイト8つは静的サイト

当事務所の本体サイトはWordPressです。問い合わせフォーム・チャットボット・お知らせなど外部サービスとの連携が多く、それらの多くがWordPress向けに用意されているためです。

一方、相続・離婚・地域特化など目的を絞った8つのサイトは、すべて静的サイトで運用しています。1サイトあたりの機能が少なく、更新するのは代表1人で、記事を継続的に積み上げていく使い方だからです。配信費用はほぼかからず、本体の更新作業も発生しません。

判断は「機能の多さ」と「触る人数」で決まる

整理すると、次のようになります。

  • WordPressが向く事務所:所内の複数名が更新する/予約・会員・ネットショップなど機能追加の予定がある/すでにWordPressで記事が数十本あり移行コストが見合わない/保守を外注する予算がある
  • 静的サイトが向く事務所:更新するのは代表1人/必要なのは業務案内・料金・コラム・問い合わせ程度/月々の固定費を抑えたい/記事を長期に積み上げたい/依頼者情報を扱うため攻撃面を減らしたい

迷ったら「所内で更新する人が2人以上いるか」を最初に確認してください。2人以上なら管理画面の価値が費用を上回りやすく、1人なら静的サイトの身軽さが効いてきます。

既存サイトがWordPressなら、急いで乗り換える必要はない

現在WordPressで運用していて特に困っていないなら、乗り換えを急ぐ理由はありません。移行には原稿の移し替えとURLの設計が伴い、手順を誤れば検索順位を落とします。判断すべきタイミングは、リニューアルを検討するときか、保守費が負担になってきたときです。制作期間の目安は士業のホームページ制作期間にまとめています。

まとめ

WordPressと静的サイトの選択は、技術の優劣ではなく、事務所の運用体制に合わせる問題です。誰が更新するのか、どこまで機能が要るのか、保守にいくら払えるのか。この3つが決まれば、答えはほぼ自動的に出ます。

要点を振り返ります。

  • デザイン・スマホ対応・表示速度・検索対策では両者に本質的な差は無い。差が出るのは公開後の運用
  • 所内の複数名が更新するならWordPress、代表1人が月数回書く程度なら静的サイトの身軽さが効く
  • 2025年のWordPress関連の脆弱性は11,334件で91%がプラグイン由来。静的サイトは本番にデータベースも管理画面も持たない
  • 運用費はWordPressが保守込みで月1万円前後から、静的サイトは小規模なら年数千円程度。5年間で見ると差が開く
  • 記事を100本以上積み上げる方針なら、静的サイトのほうが重くなりにくい
  • 当事務所は本体サイトをWordPress、機能の少ない特化サイト8つを静的サイトで運用している

HPの新設やリニューアルで技術選定に迷っている事務所代表の方は、制作会社に方式を尋ねる前に、「更新するのは誰か」「5年後に記事を何本持っていたいか」の2つをご自身で決めてください。この2つが決まっていれば、どの提案が事務所に合うかを自分で判断できます。

土台の選定からご相談いただければ、両方式を自社で運用している立場から、事務所の体制に合う選び方をお示しします。制作のご依頼を前提としないご相談でも構いません。無料相談をご利用ください。

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吉田 健人

代表取締役社長・不動産鑑定士

吉田 健人

外資IT企業でデータ分析・クラウドサービスの営業に従事した後、不動産鑑定士として独立。鑑定実務とITの両面の経験を活かし、同業の鑑定士事務所のIT化を支援している。

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