ホームページのリニューアルのタイミングは、「作ってから何年たったか」では決まりません。数年前に作った事務所サイトが、なんとなく古く見える。けれど問い合わせがゼロではないので、作り直すべきか、このまま使い続けるべきか判断がつかない。士業・小規模事務所の代表の方から、よく伺うお悩みです。
制作会社の記事では「3〜5年が目安」と書かれていることが多いのですが、年数はあくまで平均値です。3年で作り直すべきサイトもあれば、7年たっても部分改修で十分に戦えるサイトもあります。
当事務所は不動産鑑定事務所として自社サイトを運営しながら、分野別の専門サイトを新設し、士業向けのホームページ制作も行っています。その立場から結論を申し上げます。判断の軸は「スマホ表示・表示速度・更新のしやすさ・情報の鮮度・問い合わせ導線」の5項目です。このうち土台(仕組み)に原因がある項目が2つ以上あれば作り直し、中身(原稿・導線)だけの問題なら部分改修で足ります。本記事では、あなたの事務所サイトを自己診断できる形で整理します。
「3〜5年」でリニューアルのタイミングは決まらない
年数は結果であって原因ではない
「5年たったから作り直す」という判断は、築年数だけで建物の価値を決めるのに似ています。私たち鑑定士が建物を評価するときは、築年数そのものよりも、設備の劣化や間取りの陳腐化がどこまで進んでいるかを見ます。ホームページも同じで、見るべきは年数ではなく、年数とともに起きる「中身の劣化」と「仕組みの陳腐化」です。
作り直しと部分改修は、建替えと修繕の関係
建物に例えると、部分改修は「修繕」、作り直しは「建替え」です。不動産鑑定評価基準(総論第6章)は、最有効使用(その不動産の価値を最も高める使い方)を判定する際、今の建物を使い続ける場合と、取り壊して別の使い方をする場合とを、それぞれに要する費用も含めて比べる考え方をとっています。ホームページのリニューアルも、この比較の発想で考えると判断がぶれません。
サイトを作り直すべき5つのサイン
次の5項目で、あなたのサイトを点検してください。
| 項目 | 確認方法 | 原因の所在 |
|---|---|---|
| 1. スマホ表示 | 自分のスマホで開き、拡大せずに読めるか | 土台 |
| 2. 表示速度 | PageSpeed Insightsでモバイルの評価を見る | 土台 |
| 3. 更新のしやすさ | お知らせ1本を自分で10分以内に載せられるか | 土台 |
| 4. 情報の鮮度 | 料金・所属人数・業務内容が現状と一致しているか | 中身 |
| 5. 問い合わせ導線 | 各ページから相談方法に2タップ以内で届くか | 中身 |
サイン1:スマホで拡大しないと読めない
Googleは2024年7月5日に、検索順位の評価をスマホ版のページで行う方式(モバイルファーストインデックス)への移行を完了したと公表しています。パソコン用の画面をそのまま縮小して表示するサイトは、閲覧者にも検索エンジンにも不利です。スマホ対応していない(レスポンシブデザイン=画面幅に応じて表示が組み替わる作り、になっていない)場合は、原稿を直しても解決しないため、作り直しの有力なサインです。
サイン2:表示が遅い
Googleは表示体験の指標としてCore Web Vitals(コアウェブバイタル:読み込み速度・操作への反応・表示のずれを測る3指標)を定めており、「良好」の基準を読み込み2.5秒以内、反応200ミリ秒以内、ずれ0.1以下としています。PageSpeed Insights(Googleの無料診断ツール)で自分のサイトのURLを入れれば、数分で確認できます。画像の圧縮だけで改善することもありますが、古いテーマやプラグインの積み重ねが原因なら、土台の問題です。
サイン3:自分で更新できない
「お知らせを1本載せるのに制作会社へ依頼し、数日と費用がかかる」「管理画面にログインする方法が分からない」。この状態では、更新が止まるのは時間の問題です。WordPressのサイトなら、管理画面の警告表示やPHP(サーバー側で動くプログラム言語)のバージョンが古いままになっていないかも確認してください。更新できない仕組みは、それ自体が情報の陳腐化を生む原因になります。
サイン4:情報が古い
料金表が数年前のまま、退所した職員の名前が残っている、最終更新日が何年も前。閲覧者は、こうした古さを「この事務所は今も動いているのか」という不安として受け取ります。ここは中身の問題なので、原稿の差し替えで直せます。
サイン5:問い合わせまでの道が遠い
業務内容のページを読み終えた人が、どこから相談すればよいか分からない。料金の目安がどこにも書かれていない。これも中身の問題です。フォームの項目設計は問い合わせフォームの項目を減らすと問い合わせは増えるのかで詳しく解説しています。
部分改修で足りる場合の見分け方
土台と中身に分けて数える
5つのサインのうち、1〜3は土台(サイトの仕組み)、4〜5は中身(原稿と導線)です。判断の目安は次のとおりです。
- 土台のサインが2つ以上:作り直しを検討する
- 土台のサインが1つ:その項目だけの改修で足りるか、見積を取って比べる
- 中身のサインだけ:部分改修で十分。作り直しは不要と断言します
中身の問題に対して作り直しを発注すると、新しい器に古い原稿を移し替えるだけになりがちです。見た目は変わっても、問い合わせは増えません。
想定されるケースで費用を比べる
作ってから6年たった事務所サイトで、スマホ表示が崩れ、表示も遅い(土台のサイン2つ)ケースを想定します。金額は説明のための仮の数字です。
| 選択肢 | 初期費用 | 5年間の追加費用 | 5年間の合計 |
|---|---|---|---|
| 部分改修を重ねる | 30万円 | 不具合対応 年15万円×5年 | 105万円 |
| 作り直す | 80万円 | 保守 年5万円×5年 | 105万円 |
合計は同じでも、部分改修の側はスマホ表示の崩れや速度の問題が完全には解消しないまま5年間を過ごすことになります。一方、中身のサインだけのサイトであれば、原稿の差し替えに10〜20万円をかければ足り、80万円の作り直しは過剰投資です。鑑定評価と同じく、「今の器を使い続けた場合」と「作り直した場合」を、費用と得られる効果の両方で比べてください。
サイトを作り直すときに失敗しない3つの注意点
ドメインは変えない
「ホームページ 作り直し ドメイン」という検索が多いように、ここは迷いやすい点です。原則として、今のドメイン(サイトの住所にあたる文字列)は引き継いでください。ドメインを変えると、これまでに積み上げた検索評価や、名刺・書類に印刷したURLが無駄になります。ページのURLが変わる場合は、古いURLから新しいURLへ自動で転送する設定(301リダイレクト)を必ず入れます。
作り直す前に、今のアクセス状況を記録する
どのページが検索から読まれ、どこから問い合わせが来ているのかを、作り直す前に記録しておいてください。これがないと、リニューアル後に数字が良くなったのか悪くなったのか判断できません。見方はGA4とSearch Consoleの見方で解説しています。
仕組みの選び方は更新する人で決める
WordPressで作り直すのか、Wixなどの作成サービスに移るのか、静的サイト(あらかじめ作ったページを配信するだけの軽い仕組み)にするのか。正解は「誰が、どのくらいの頻度で更新するか」で決まります。比較はWordPressと静的サイト、士業のホームページはどちらを選ぶべきかにまとめています。
まとめ
ホームページのリニューアルのタイミングは、年数ではなく、サイトの土台と中身のどちらに問題があるかで決まります。
要点を振り返ります。
- 「3〜5年」は平均値にすぎず、年数だけで作り直しを決めない
- 点検項目はスマホ表示・表示速度・更新のしやすさ・情報の鮮度・問い合わせ導線の5つ
- スマホ表示・表示速度・更新のしやすさは土台の問題で、2つ以上当てはまれば作り直しを検討する
- 情報の鮮度と問い合わせ導線は中身の問題で、部分改修で直せる
- 作り直すときはドメインを引き継ぎ、事前にアクセス状況を記録しておく
数年前に作ったサイトを持て余している事務所代表の方は、まず上の表の5項目を15分で点検してみてください。作り直すべきか、原稿を直せば足りるかが見えてきます。
当事務所は、鑑定事務所として自社サイトと分野別の専門サイトを自分たちで運用してきた経験をもとに、作り直すべきかどうかの判断からご一緒します。無理に作り直しをおすすめすることはありません。料金プランをご確認のうえ、無料相談をご利用ください。




