「先月まで1ページ目にあった記事が、急に見当たらなくなった」「問い合わせフォームからの連絡がぱたりと止まった」。士業事務所の代表の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
このとき最も起こりやすいのが、原因を確かめないまま手を動かしてしまうことです。順位が落ちた記事を削除する、全記事を一斉に書き直す、SEO業者に緊急で相談する。いずれも気持ちは分かりますが、多くの場合は事態を長引かせます。そもそもその変動がコアアップデートによるものだったのか、確かめていないからです。
本記事では、検索流入が急減したときに何をどの順番で確認し、何を絶対にしてはいけないのかを整理します。私たち鑑定士が自社で8つのサイトを運用しながら、実際に変動を受けたときに踏んでいる手順です。新しいツールの導入は必要なく、Google Search Console(グーグルサーチコンソール:Googleが無料提供する検索パフォーマンス分析ツール)だけで進められます。
その順位下落は、本当にコアアップデートによるものですか
2026年のコアアップデートは3月と5月の2回だけです
まず事実を確認します。Googleが2026年に実施を公表したコアアップデートは、3月27日開始(4月8日完了)と5月21日開始(6月2日完了)の2回です。8月18日から21日にかけて実施されたのはスパムアップデートであり、コアアップデートではありません(Google検索セントラル「Google検索のランキング アップデート」2026年9月時点)。
ここが出発点です。順位が動いた時期に公表されたアップデートが無いのであれば、原因は別のところにあります。にもかかわらず「コアアップデートが来たらしい」という業界記事を読んで、無関係な対策に着手してしまう事務所が少なくありません。
変動の原因候補は4つに分けられます
検索流入が減ったときに考えられる原因は、大きく次の4つです。この切り分けを飛ばして対策に進んではいけません。
- アルゴリズムの変動(コアアップデート、スパムアップデート、公表されない日常的な調整)
- 自サイト側の技術的な問題(サーバー障害、noindexの誤設定、リダイレクトの不備、サイト移転の事故)
- 検索需要そのものの変動(季節性。相続関連は年始と年度末、補助金関連は公募時期に動きます)
- 検索結果の見た目の変化(AIによる要約が上部に入り、順位は同じでもクリックだけが減る)
4つ目は近年とくに増えています。順位は変わっていないのにクリックだけが落ちている場合、対策の方向はまったく別になります。この論点はAI検索に引用される士業サイトとは?LLMO対策で今すぐやる5つのことで詳しく扱っています。
ロールアウト(段階的な反映)が終わるまで動かないことです
コアアップデートは、ロールアウト(アルゴリズムの変更を全体へ段階的に反映していく工程)に通常2週間前後かかります。この期間中は順位が日ごとに上下するため、途中経過を見て判断しても意味がありません。Googleは、ロールアウト完了後さらに1週間程度待ってから分析することを推奨しています(Google検索セントラル「Google検索のコア アップデートとサイト」)。
最初に確認する5つの指標
Search Consoleの「検索パフォーマンス」で、次の5つを順に見ます。比較期間は「直近の1週間」と「アップデート開始前の1週間」を並べます。前年同月比や前月比では、季節性とアップデートの影響が混ざって切り分けられません。
表示回数とクリック数を分けて見る
この2つを分けることが、切り分けの核心です。
| 指標の動き | 考えられる原因 | 打ち手の方向 |
|---|---|---|
| 表示回数が減少 | 順位下落・インデックス除外 | 該当ページの品質と技術面を確認 |
| 表示回数は維持、クリックのみ減少 | AI要約・検索結果の表示変化 | 引用されやすい書き方へ改稿 |
| 両方とも横ばい | 検索需要の季節変動 | 静観。他チャネルを強化 |
下落したページとクエリを特定する
サイト全体の数字だけを見ていても、打ち手は決まりません。「ページ」タブでクリック数の減少幅が大きい順に並べ、上位5ページに絞ります。次にそのページを選んだ状態で「クエリ」タブに切り替え、どの検索語句で失ったのかを見ます。
ここで想定されるケースを挙げます。ある事務所のサイトで、月間クリック数が480から300へ約38%減少したとします。ページ別に見ると、減少分180のうち140が1ページに集中していた。そのページのクエリを見ると、失ったのは事務所名を含まない一般的な語句ばかりで、事務所名での検索(指名検索)は減っていなかった——。この場合、事務所の信頼が落ちたのではなく、その1ページの競争力の問題です。サイト全体を作り直す必要はありません。
下落の幅で対応を変える
Googleは、下落の程度によって取るべき対応が違うと明示しています。2位から4位といった小幅な下落であれば、抜本的な変更は推奨されません。むしろ成果の出ているコンテンツに手を入れるリスクのほうが大きいためです。一方、4位から29位のような大幅な下落であれば、そのページの内容そのものを見直す必要があります。
コアアップデートはペナルティではありません
Googleは「コアアップデートは広範な性質のもので、特定のサイトや個別のページを対象とするものではない」と明記しています。順位が下がったことは、そのページに違反があったことを意味しません。ここを取り違えると、不要な削除や謝罪的な修正に走ることになります。
やってはいけない3つの対処
順位が落ちた記事を削除する
最もよくある失敗です。削除すれば、その記事が持っていた残りの流入も、被リンクも、内部リンクの導線もすべて失われます。回復の余地を自ら捨てる行為であり、いったん消したページの評価は元に戻りません。判断に迷う段階では、消さずに改稿してください。
全記事を一斉にリライトする
焦って数十本の記事に同時に手を入れると、次に順位が動いたときに何が効いたのか分からなくなります。前項で特定した上位数ページに絞り、改稿の内容と日付を記録したうえで、効果を測れる状態で進めることです。
外部リンクの購入やAIによる記事量産に走る
有料リンクの購入はGoogleのスパムに関するポリシー違反であり、手動対策の対象になり得ます。また、検証を経ないAI生成記事を大量に追加することも逆効果です。士業名義の記事に事実誤認が混じったときの損失は、順位下落とは比べものになりません。AIの下書きを使う際の条件は士業ブログの書き方 — 検索で見つかる記事の型と続けるコツに整理しています。
士業サイトが強化しやすいE-E-A-Tの3要素
コアアップデートへの本質的な備えは、E-E-A-T(Experience・Expertise・Authoritativeness・Trustworthiness=経験・専門性・権威性・信頼性)の裏づけをページ上で示すことです。Googleはこのうち信頼性が最も重要だとしています。そして士業事務所は、ここで大手メディアより有利な立場にあります。断言します。
誰が書いたのかを明示する
記事に著者名と資格を書き、プロフィールページへリンクします。プロフィールには登録番号、所属、経歴、顔写真を載せます。国家資格の登録番号は第三者が検証できる情報であり、匿名の記事には決して用意できない裏づけです。
一次情報と実務の数字を本文に置く
「〜と言われています」という伝聞を、出典付きの記述に置き換えます。法令なら法令名と条文番号、統計なら機関名・調査名・時点、判例なら裁判所名と日付です。加えて、自社の実務から出た数字を1つ入れます。他所から借りてこられない記述こそが、評価の対象になります。
いつ時点の情報かを示す
制度や統計を扱う記事には、更新日と「〇年〇月時点」の記載を入れます。数年前の税率や廃止された制度がそのまま残っているページは、読者にとっても検索エンジンにとっても信頼性を損ないます。年に一度、数値を含む記事を棚卸しする日を決めておくことをおすすめします。
回復までの時間軸と、その間にやること
数日から数か月、次のアップデートを待つ場合もあります
改稿の効果が反映されるまでには、数日から数か月かかります。数か月経っても変化が無い場合、次のコアアップデートまで待つ必要があるかもしれない——これがGoogleの説明です。つまり、来週の回復を前提にした計画は立てられません。この時間軸を最初に受け入れておくことが、焦った対処を防ぐ最大の防御になります。
検索に依存しない導線を並行して作る
順位変動のたびに事務所の売上が揺れるのは、流入経路が検索のみだからです。待つ期間を使って、既存顧客と士業ネットワークへのメール配信、セミナー、紹介の導線を整えることをおすすめします。検索流入は、複数ある経路の1本という位置づけに変えていくのが健全です。集客経路全体の設計は士業のホームページで集客できないのはなぜか?で扱っています。
まとめ
検索順位が落ちたときに最も重要なのは、速く動くことではなく、正しい順番で確認することです。原因を切り分けないまま加えた変更は、回復を早めるどころか、次に何が起きたのかを分からなくします。
要点を振り返ります。
- 2026年のコアアップデートは3月と5月の2回のみ。変動時期に公表されたアップデートが無ければ原因は別にあります
- ロールアウト完了からさらに1週間待ち、「直近1週間」と「アップデート開始前1週間」で比較します
- 表示回数とクリック数を分けて見て、下落したページとクエリを上位5件に絞り込みます
- 記事の削除・一斉リライト・リンク購入・AI記事量産はいずれも回復を遠ざけます
- 士業が強化すべきは著者情報・一次情報と実務の数字・更新時点の明示の3点です
- 回復には数日から数か月かかり、次のコアアップデートを待つ場合もあります
検索流入が急減して原因が分からない事務所代表の方は、記事を触る前に、Search Consoleで「表示回数」と「クリック数」を分けて見るところから始めてください。ここだけで、打つべき手がまったく違う方向に分かれます。
順位変動の原因切り分けや、既存記事の改稿方針のご相談は、鑑定事務所が自社のサイト群を運用しながら積み上げた経験をもとにお応えします。無料相談をご利用ください。
Service
SEO対策
検索エンジンからの集客を最大化。地域キーワード・専門キーワードで上位表示を実現し、安定した問い合わせ獲得につなげます。
事務所のIT環境を一通り点検できる無料資料はこちらからダウンロードできます。個別のご相談は無料相談へお寄せください。




