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Blog / AI活用

行政書士のAI活用 — 許認可申請の書類作成はどこまで効率化できるか

2026/08/09吉田 健人

はじめに

「許認可申請は書類の種類が多く、案件ごとの整理に追われている。AIで楽にならないだろうか」

行政書士の先生方の業務は、依頼者からの資料収集、要件の確認、申請書類の作成と、書類を扱う工程の連続です。書類が多い業務ほどAIの効果は出やすい——これが、自社の士業実務でAIを日常運用してきた当社の実感です。

当社は不動産鑑定業を営んでおり、たとえば取引事例の整理・一覧化は180分かかっていた作業が30分になりました。本記事では、この経験を行政書士業務に当てはめ、AIが効く領域と行政書士に残すべき責任の線引き、そして始め方までを整理します。

第1章: 行政書士業務を分解する

まず「行政書士の仕事」をひとかたまりで考えず、工程に分解します。許認可申請を例にすると、おおよそ次の流れです。

工程主な作業書類作業の比重
受任・ヒアリング依頼内容の確認、要件の当たり付け
資料収集依頼者への案内、収集資料の確認・催促
書類作成申請書・添付書類の作成、整合確認
提出・対応官公署への提出、補正対応
更新管理許可の有効期限・更新時期の管理

このほか、契約書等の書類作成業務や相談業務もあります。分解してみると、資格者としての判断が必要な部分と、その前後にある「整理・確認・下書き」の部分がはっきり分かれることがわかります。AIが効くのは後者です。

第2章: AIが効く領域

必要書類チェックリストの整備

許認可の種類ごとに必要書類は異なり、依頼者の状況によっても変わります。自事務所で扱う許認可について「この場合はこの書類」という確認用チェックリストの下書きをAIに作らせ、行政書士が正確性を検証して事務所の型として整備する。一度作れば案件ごとの抜け漏れ確認が速くなります。

収集資料の整理・突合

依頼者から届いた資料を一覧化し、チェックリストと突き合わせて「そろっているもの・不足しているもの」を仕分ける作業は、AIの得意分野です。当社の鑑定実務における事例整理と同じ構造で、最も時間削減が出やすい領域です。

案内文書と下書き

依頼者向けの資料依頼文、手続きの流れのご説明文書、不足書類の催促文。それから申請書類の記載内容の下書きや、作成済み書類の誤字・記載漏れ・書類間の不整合チェックも任せられます。当社では評価書の納品前チェックをAIに任せ、目視1〜2時間の確認が15分程度の指摘採否判断になりました。同じ型が申請書類一式の最終確認前の点検にも応用できます。

第3章: 行政書士に残すべき責任と、始め方

官公署提出書類の最終責任は行政書士に

官公署に提出する書類の作成は行政書士の資格者業務であり、その内容の最終責任は行政書士が負います。AIの出力は下書き・点検補助にすぎず、要件充足の判断、記載内容の確定、提出の判断は必ず行政書士自身が行う。この線引きは、当社が鑑定評価(不動産鑑定士の独占業務)で守っている線引きと同じ構造です。AIは専門家の代わりではなく、専門家の手足です。

依頼者の機密の扱い

許認可申請では、依頼者の財務情報や個人情報を大量に預かります。AI導入時には、入力データを学習に使わせない設定が可能な有料プランを使うこと(Claudeの有料プランではこの設定が可能です)、そして「何を入力してよいか」の所内ルールを文書化することの2点が最低条件です。

始め方: 機密を含まない定型業務から

最初の1業務には、依頼者情報を含まない業務——チェックリストの整備、所内の定型文書、公開されている手引きの整理など——を選ぶのが定石です。小さな成功で検証の習慣を作ってから、機密を扱う業務に広げます。題材の選び方は 最初の1業務の選び方 で詳しく解説しています。

まとめ

  • 行政書士業務を工程分解すると、AIが効く領域(チェックリスト整備・収集資料の整理・案内文書と下書き・書類の点検)が明確になる
  • 官公署提出書類の作成という資格者業務の最終責任は行政書士に残す。AIは下書きと点検まで
  • 機密対策は学習させない設定と所内ルールの文書化が最低条件。機密を含まない定型業務から始める

書類の多い士業ほど、AIの効果は業務分解の質で決まります。自事務所のどの工程から始めるべきか、無料相談 でぜひ一度ご相談ください。業務分解の考え方をまとめた無料資料「鑑定士のためのAI活用入門」も こちらからダウンロード いただけます(士業共通でお使いいただける内容です)。

吉田 健人

代表取締役社長・不動産鑑定士

吉田 健人

外資IT企業でデータ分析・クラウドサービスの営業に従事した後、不動産鑑定士として独立。鑑定実務とITの両面の経験を活かし、同業の鑑定士事務所のIT化を支援している。

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